自分への投資

といえば,聞こえはいいが,要はけっこう大量に本を購入しただけのこと。以下,順不同で。

  1. 三戸 公[1971]『ドラッカー ―自由・社会・管理―』未來社。
  2. 依田高典[2011]『次世代インターネットの経済学』岩波新書。
  3. 開 一夫[2011]『赤ちゃんの不思議』岩波新書。
  4. 木田 元[2001]『偶然性と運命』岩波新書。
  5. 菅野 仁[2003]『ジンメル・つながりの哲学』NHKブックス。
  6. 古東哲明[2011]『瞬間を生きる哲学 ―〈今ここ〉に佇む技法―』筑摩選書。
  7. 『日経ビジネス』2冊(タイトル略)

 

眠たかったから衝動買いしたわけではないですよ。

 

このうち3.は,実際に1歳児がいるということもあるにはあるけれども,別の理由もある。先週末の経営学史学会のときに会員控え室で,師匠やその世代の先生たち(→ちょうど私の親と同じ世代か,ちょっと上くらい=初孫ができた頃合い)と話をしていて,「赤ちゃんてすごいよなぁ」という話(その大半は“おじいちゃんのデレデレ話”だったわけだがwww)になり,「人間の学習メカニズムの基礎って,この時期に形成されるんやろなぁ」という話になった。

 

たしかに,同感。で,この著者,NHKの『爆問学問』でも出演しておられたので,ちょっと憶えていた。実際,おもしろかった。そういうこともあって,購入。まだちゃんと読んでないので,追々ゆっくり読んでみたい。

 

 

1.は今回「書物復権」シリーズで再刊された。最近のドラッカーの大流行は今さら言うまでもないが,やはりこの本はドラッカーを読むなら,(主張に賛成するにせよ,反対するにせよ)必ず読むべきだと思う。

 

先ほど触れた経営学史学会で,この著者,御歳今年で91歳ながら自由論題(!!!!!)で報告された。まぁこの世界の人間なら,一度は聴いておくべき(内容もさることながら,語り口を)だと思うが,やはり惹きつけるものはある。すべての著作を読んだわけではないから,批判(⇒もちろん,単にケチをつけるという意味ではない。「批判」の意味については,三戸 公『アメリカ経営思想批判』序文必読)とかにまで至らないけれども,必ずしもすべての主張に同意するわけではない。

 

でも,今回の学会(以前から論文などで指摘していられるが)で述べていられたマルクスの論理における自己組織性認識や,バーナードの主著を4段階(人間論,協働論,組織論,管理 / リーダーシップ論)として捉えているところなど,やはり何がしかの影響は受けている。

 

そして何より吃驚したのは(まぁ当然といえば当然なのだが),91歳にして『もしドラ』を読み,その問題点にも触れているところ。ドラッカーを深く読んできたわけだから,当然なのだろうけれども,それでも「すげぇな」と思わずにはいられなかった。来週公開される映画も見に行かれるんだろうか。

 

それはそうと,この時期にこの本が復刊されたのはありがたい。『もしドラ』はドラッカーへの入り口としてならまだしも,少なくとも経営学部や商学部など経営を学んでいる学生が卒論などで,『もしドラ』だけで書こうとするなら,それは問題だと思う。やはり,1.の本は読まないと。

 

 

4.~6.は哲学系なので,じっくり読みたいところ。意外に一気に読んでしまった(若干,飛ばし読み気味だが)のが,2.。とりあえず読んでみようか程度で買ったのだが,おもしろい。この本を買う直前に電車のなかで考えていたのが,フリーのビジネスというのは存立しうるのかという点だった。私は,これにすごく懐疑的だ。古色蒼然の感ある労働価値説をそのまま信奉することはできないけれども,交換される対象としての製品やサービスには,購入する側の使用価値(期待使用価値と経験使用価値)と同時に,提供する側の使用価値も存在する。この提供する側の使用価値とは,ここではその製品ないしサービスを創出・提供するのにかかった費用(≒原価)をひとまず想定している。そして,この両者の使用価値を背後に含みながら,両者が主観的交換価値を提示する。いわば,「希望価格」のように。もちろん,両者が同時に提示するわけではない。ここでは,ハイエクのいう「発見プロセスとしての競争」を想定する。いずれにしても,製品やサービスの創出・提供には費用が発生している。それを購入する側が評価し,それによって交換,踏み込んで言えば「経済」が成立する。その点,この依田著書ではデジタル経済も従来の経済も,もちろんそれぞれの特質はあるが,基本的な部分は共通しているという認識を示している。

 

ざっと読みレベルなので,ちゃんとした感想は書けないが,ITなりインターネットなり,はたまたSNSなり,こういった領域のビジネスや戦略について論じようとするなら,まずは読むべき書なのではないかと思う。

 

 

また本が増えてしまった。

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